フードファディズムという概念を日本に紹介した高橋久仁子氏のお話を伺う機会を得ました。
「27年間費やしてきても、何も変わらない」
諦めにも近い高橋氏の言葉。
それでも伝え続けていくしかないというその姿勢に感銘を受けました。
フードファディズムとは何か?どんな社会で見られるのか?
フードファディズムとは、「上記写真にもあるように、食べ物や栄養が、健康や病気に与える影響を過大に評価したり信じること」と氏は定義します。
そして、そうしたフードファディズムが蔓延する社会的な条件を、
- 見かけ上の過剰な食料供給
- 過剰な健康志向
- 食料の生産や製造、流通に対する漠然とした不安や不信
- 情報の過剰提供及び未熟なメディアリテラシー
としています。
フードファディズムにはどんなものがあるか?
氏は、フードファディズムを3つの種類に分類しています。
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健康への好影響を騙る食品の大流行
テレビや雑誌、ウェブ上で日々繰り返される「〇〇を食べればガンにならない」「〇〇を食べればあっという間にスリムに!」などの情報にどれだけ信憑性があるのか、ということ。たとえ学術論文に基づいたものでも、その一部だけが取り上げられたり、条件を無視して拡大解釈していたり、といったものもあるので注意が必要です。
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量の無視
有益、あるいは有害成分の量を考慮せずに「〇〇は体にいい!」「〇〇は危険」などという情報。量とは違うが、経口摂取では意味のないもの(消化管から吸収されないもの)を「〇〇はストレスを緩和する効果があるので食べましょう」などというものもあります。
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食品に対する期待や不安の扇動
自然、天然、植物性はよく、人工、動物性はすべて悪いかのような決めつけ。砂糖など精製度の高い食品や農薬、化学肥料、食品添加物を極端に目の敵にすること。天然のものでも体に悪いものもあります(例:一歳未満の子どもに蜂蜜を与えると死亡原因にすらなる)。
フードファディズムの出処はどこか?
残念ながら、医療、行政、学校などからの情報にも、フードファディズム的な情報は含まれています。
例えば、商品を売りたい食品業界や健康食品業界。
そして、視聴率向上、販売部数アップを狙うメディア。
こうしたところから出る食情報には、フードファディズムが限りなく紛れ込んでいると言います。
とはいえ、表現の自由との関係で、こうした情報発信を取り締まることは無理でしょう。
となれば、私たち一人一人が、こうした情報に惑わされないだけの情報リテラシーを身につけなければならないと、氏は言います。
食に期待しすぎないことが大切
健康の維持、増進の3要素として、栄養、休養、運動を氏はあげています。
そして、休養と運動をないがしろにしておいて、食だけでなんとかなる、なんとかしようとすることに無理があると知らなければならないと主張しています。
「食はもちろん重要、でも、食に過剰なまでの期待をされても困る。」
「これさえ食べれば病気にかからない」
「これさえ食べれば痩せる」
そんな魔法のような食べものなんて存在しない。
「そこそこ健康ならいいじゃないですか」
氏のそんな言葉を聞いて、私たちの、何にでも「もっと、もっと」と求めすぎる心がフードファディズムをこれだけ蔓延させている根本原因だなと改めて感じることになりました。
「知足」足るを知る。
最近、この言葉を自分に言い聞かせています。
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