プラスティックが魚より多くなる?

2050年には、世界の海に棲む魚よりも、世界の海に漂うプラスティックの方が、重量ベースで多くなると言う衝撃的な予測があります。

私たちの暮らしに欠かせないものとなってしまった感もあるプラスティック製品。


でも、このままでいいものでしょうか?

規制を進める国や地域も出てきています。

インドネシア、マナドの海は魚も多く美しい
インドネシア、マナドの海は魚も多く美しい

我が家は家族全員が海が好き。
シュノーケリングやダイビング、海水浴に出かけます。


そんな時、浜辺で目にするのが、打ち上げられた大量のプラスティック。


これが、ここ数年大きな問題として取り上げられてきています。

2050年には魚よりもプラスティックが多い海になる?

エレン・マッカーサー財団のレポートによれば、2014年の時点で全世界のプラスチック生産は3億1100万トン。

プラスティックパッケージ(レジ袋など)に限っていえば、リサイクルされているのはたった14%。14%が焼却処理、約40%が埋め立て処理され、約32%はゴミ処理にも回らず違法に廃棄されていると言います(2013年の数字)。

この状況が続けば、世界の海は2025年には、プラスチックごみ1に対して、魚が3の割合になり、2050年には、魚よりもプラスチックごみの方が重量ベースで多くなるというのです。

マイクロプラスティックは海洋生物だけではなく、人にも悪影響を与える

海にはそうしたプラスティック製品が漂い、それを食べた海洋生物が最悪の場合死んでしまうなどのニュースも見られます。

 

でも、もっと怖いのはマイクロプラスティック。
一般的には5mm以下の微細なプラスティックをマイクロプラスティックと呼んでいます。
とても小さいため、下水処理システムでも全てを捕えることはできずに海洋に流れ出してしまいます。

研磨剤(スクラブ)として化粧品や歯磨き粉などに含まれるマイクロビーズ。ポリエステルなどの化学繊維の服を洗濯すると出るそのカスや、また削って汚れを落とすタイプのメラミン製のスポンジもマイクロプラスティックになって下水道を通じて海に流れてしまうといいます。
また、浜辺に打ち上げられたビニール袋やペットボトルなどのプラスティック製品も、
波に打たれたり紫外線にさらされることで、マイクロプラスティックになります

高田秀重 東京農工大学教授の調査によれば、東京湾のカタクチイワシ64尾のうち49尾から平均3個のマイクロプラスティックが見つかったそうです。

(参考:「海洋のプラスチックゴミ汚染」)

マイクロプラスティックは、沈殿している有害物質を吸着する

プラスティックは石油からできています。
そして、油に溶けやすいPCBなどの有害物質を吸着する性質を持っています。


生物が食べるとプラスティック自体は排出されますが、そうした有害物質は脂肪に溶けて体内に入ってくることが懸念されています。

マイクロプラスティックを食べた魚の内臓を食べれば、私たち人間の体内にもそれが蓄積していくことになります。

現段階の量ではまだ人体にすぐにも影響があると言われるほどではないと高田教授は書いていますが、これからプラスティックがさらに増えていけば危険性は高まっても不思議ではありません。

プラスティックを規制する国や地域も出てきています

こうしたことに危機感を覚え、プラスティックの使用を規制しようとする国や地域も出てきています。

 

2009年にオーストラリアの自治体でペットボトル飲料の販売が禁止されている他、2014年には、大都市では初めてサンフランシスコ市が621ml以下の水のペットボトルの販売を公用地で禁止しました。違反者には最大1000ドルの罰金が課せられます。

2015年には、アメリカのカリフォルニア州で、一回限りの使い捨てのレジ袋の提供を禁止する法案が成立しました。

フランスでは、2016年7月から、レジ袋として使用できるのは、厚さ50ミクロン以上で、再使用可能なプラスチック製か紙や繊維などその他の素材の袋のいずれか以外は小売店での使用が禁止されています。

アメリカのコロラド州、コネティカット州などでは、2017年に

マイクロビーズを含むパーソナルケア商品の製造を禁止し、2018年末にはその販売も禁止されることになります。

 

ケニアでは2017年に、プラスティック関連では世界一厳しい法律が施行されました。レジ袋の製造、販売、輸入だけでなく、使用しただけでも最長4年の禁固刑か、最高4万ドルの罰金刑が課せられる可能性があります。

私たちにできることは?

プラスティックは、自然界で分解されるのに少なく見積もっても数十年以上かかると言われています。

 

プラスティックを餌にして生きることができる虫が発見されたと言います。また、プラスティックを早く分解する方法を開発する企業が出てきています。

でもまず、私たち一人一人にできることは、プラスティック製品を使わないでいい場面では使わないこと。毎週「プラごみ」の日にどれだけ多くのプラスティックを捨てているかと思うと、これを少しずつでも減らしていかなくてはなと思います。ペットボトルはできるだけ買わずに水筒を持参する、とか。レジ袋はもらわない、とか。


また、マイクロビーズが使われている商品は使わないことも考えていきたいと思います。マイクロビーズが使われているかどうかを判断する基準について、ジャーナリストの佐々木奎一さんがその見分け方を書いています。

「ポリエチレン」「ポリエチレン末」「ポリプロピレン」

成分表示にこれがあれば、まずマイクロビーズ(マイクロプラスティック)が含まれていると考えてよいとのこと。

私たちがゴミとして出すプラスティック、化粧品や衣服、家事用品に使われているプラスティックが、私たちの周りの環境に、私たちの健康に、大きな悪影響を与えることになるのであれば、ゼロにすることは難しくても、できることからしていきたいと思うのです。

facebookユーザーしか見ることができませんが、こんな動画も作られています。

サカイ優佳子の他のブログ記事はこちらからお読みいただけます。