「鏡の中の鏡」ミヒャエル・エンデを読んで

「許して、ぼくはこれより大きな声ではしゃべれない。」


冒頭のこの一文から引き込まれて、意識の迷宮にまよいこむ快感を得た。

そして、二作目の結末には思わず唸った。

「モモ」「果てしない物語」で知られるミヒャエル・エンデの代表作の一つ「鏡の中の鏡」。

シュールレアリズムの画家であった父エトカーに捧げられた30の連作短編集だ。

それは、詩のようでもあり、音楽のようでもある。

前とその後の話を、共通するイメージで繋ぎながら幻想的な世界が展開され、最後に至って初めの話と繋がる不思議な構造になっている。

理詰めではなく、湧いてくるイメージの中に意識を遊ばせるような感覚で読むべき本。


心に残る文がたくあんあったが、ここにはあえて挙げない。
読み返せば、きっと違う部分が響くのだろう、と思える本だから。

眠りにつく前の時間、あるいはゆるゆると過ごすことができる休日の朝に読みたい。