国の境界を越えて人はつながることができるはず

連休中に見た映画「ブリッジ・オブ・スパイ」。

アカデミー賞最有力候補と言われると、作品賞候補としては正直「?」ではある。が、ロシア側のスパイ役のマーク・ライランスがいい味を出しており、助演男優賞なら絶対あり!と思う。 

 

人と人とは、それぞれの出身国の思惑や政治体制を超えて共感で繋がることができるはず。そんなことを改めて思った。

美しい街、鳳凰では日本人お断りという看板をいくつも見た

実は、この年末に旅していた中国の地方の町では、少なからぬ店が「日本人お断り」の看板を掲げていた。古い街並みが残る美しい街で、その言葉を目にするのは気持ちがよいものではなかった。

 

外国なまりの拙い中国語を話す私に、「なにじん?」とだれもが尋ねた。

日本人と答えると「え?」という反応を示す人も多かったが、結局出て行けと言われることはなかった。

ほとんどの人が日本人と会ったことがなかったのだ。

個人のつながりは、国と国との関係を超える

娘は北京で、息子が上海で学んでいると話した。

すると親近感を持ってくれもする。

結局日本人だからと嫌な思いをすることは一度もなかったし、いろいろ親切にもしてもらった。

顔を見て、話して、ともに時を過ごせば、それぞれの背後にある国の関係を飛び越えることは可能なはず。私はそう信じている。

デンバーで出会った「元スパイ」

デンバーに日本人が多いのは、第二次大戦中にデンバーの市長が日本人、日系人を保護し、収容所に送り込むことをしなかったからだと今は亡き男性からきいた。アメリカでの私の結婚式で、私の父が健康上の理由でアメリカに来ることができないために父親がわりをしてくれた長身でダンディな男性だった。

 

彼は戦前に日本からアメリカに渡り帰化しており、祖国アメリカへの忠誠を誓わせられ、その証明のために大戦中スパイ活動をさせられていた。

彼はどんな気持ちでスパイ活動をしていたのだろう。

ゆっくりお話を伺う機会なく、彼の訃報に接した。奥様も数年前に逝った。

個人が繋がっていくことで世界はきっと変わっていくと信じてる

この人と今繋がったと感じることがある。

この一瞬は一生忘れないだろうと思うそんな瞬間ってある。

その後二度と会うことはないとしても。

そんな出会いが今回の中国の旅でもあった。

ブリッジ・オブ・スパイ。

この映画が、いろいろなことを思い出させてくれた。