マリ共和国出身、マリの伝統楽器KORA奏者のMamadou Doumbiaさんと会ったのは、横浜市青葉区のギャラリーエスニカで行われた5月のライブで、だった。
前日にたまたま車の中で聴いたラジオでライブのことを知り、急遽参加。
白人率がとても高かったこのライブで、私はMamadouさんの目の前、1mも離れていない最前列に座り、KORAの優しい音色に魅了された。KORAを触らせてもらい、ちょっとお話もした。
その後、facebookで繋がり、ミニライブをお願いしたところ、即座に「OK!」の返事をもらった。
そして6月。打ち合わせに、と、友人たちを誘って、毎週金曜にコラを弾いているという中目黒のクイーンシーバに。
そして迎えた8月22日。樹のソムリエstudio@大田区にて「マリってどんな国?マリ共和国の伝統楽器KORAのライブ&マリについてのお話」を開催。
KORAは王様がくつろぐ時に奏でられるという優しい音を持つ楽器。
22本の釣り糸(楽器により21から24弦まであるそうですが)、ひょうたん、そして羊の皮で作られている。調弦がなかなか大変なのだそうだ。
「アフリカの音楽というとビートがきいているイメージがあったのですが、こんなに優しい音色の音楽と楽器があるんですね」とは参加してくださった方の感想。
かつて西アフリカは「マリ帝国」という一つの国だった。
そんなことすら知らなかった私たち。
文字をもたないマリでは歌にのせて歴史は語り継がれてきたという。
西欧諸国がアフリカに入ったことで国は分断され、今ではかつて同じ国だったとは思えないような関係になってしまっていること。
フランス語という共通語がなければ別の部族同士話す術がないこと。
独立国といっても通貨もフランスが刷っているという現実。
「アフリカは独立なんかしてない」
「豊富な資源なんかなければよかった。そうしたらこんなことにはならなかった」
「何千年もの間、電気がなくたって人々は生きてきた。その知恵を今、人は見失ってしまっている」
「2013年までは日本の友だちを連れて毎年マリに帰っていたのに、今は危険で帰ることができない」
Mamadouさんの言葉一つ一つに、私たちは考えさせられることになった。
ギャラリーでのライブ、クイーンシーバでのライブ、音楽は美しかったけれど、Mamadouさんを通じて語られるマリの話を間に挟みながら、そしてそれぞれの曲がどんな時に奏でられたのかをききながら聴くKORAの音色は、ずっとずっと深く静かに響いてきたように思う。
マリの伝統の曲4曲を演奏してくれたMamadouさん。
予定の時刻がきて一旦はしめたのに、名残を惜しむかのように一人も帰ることなく歓談タイムに突入。
Mamadouさんの演奏やお話への感想、そしてそれぞれがやっていること、夢を語る時間となった。
Mamadouさんの音楽がくれたその場の雰囲気は、私たちみんなに不思議な共感、連帯感を生んでくれたようだ。
私たちにとって遠かった国マリ共和国。
この日参加してくれた人たちにとっては、Mamadouさんという人と出会ったことでもう字面だけの国ではなくなったように思う。
ありがとう、 Mamadouさん!
いつかマリがまた平和を取り戻す時、マリを訪れてみたい。
Mamadouさんが「お〜いしいんだよね〜」と写真を見るだけで笑顔になるマリの料理を一緒に食べてみたい。
参加してくれた皆さんはきっと私と同じ気持ちになったに違いない。
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