映画「聖者たちの食卓」に圧倒される

映画「聖者たちの食卓(原題:HIMSELF HE COOKS)」(ベルギー映画 2011年)をみた。

シーク教徒にとって最も神聖な場所と言われる、インド北西部パンジャーブ州にある「黄金寺院」。この寺院の「ランガル」(無料食堂)では「毎日」10万人分の料理が無料でふるまわれている。

1時間あまりの短い映画ながら、見ているだけで人疲れする?ほど登場人物が多い。喧噪の中にほおりだされた感じ。解説のナレーションは一切なし(なのでパンフレットを購入。でないと正直何がどうなっているのか細かいところがわからない)。


500年以上にわたって毎日この寺院で行われてきた10万人分の食事づくりの様子をカメラが追う。

「宗教、カースト、肌の色、信条、年齢、性別、社会的地位に関係なく、すべての人は平等である」というシーク教の教義を守るために考案された習わし。だから、作法にのっとって寺院に入れば、異教徒であっても信者と同様、ランガルで食事をともにすることもできるという。

1日に10万食もの料理を可能にするのが、サバダールと呼ばれるボランティア。

文字通り老若男女が、畑から野菜を収穫し、にんにくの皮をむき、エシャロットを刻み、チャパティを伸ばし焼き、カレーを作り、来場者が脱いだ靴を磨き(!)、食器や人がすっぽり入るほどに大きな鍋を洗い、床を磨く。
その無駄のない動きたるや、、、。


そして1度に5000人ずつが大広間に座り、一斉に食事をし、入れ替わる。
しかし、この人たちは常に食事をこの寺院でとるのだろうか、それとも家でも食事はするけれどたまに来るのか?そのあたりがわからない。
それにしても、寺院の中は常にものすごい人の量だ。
そして人々がまとう衣服のカラフルさがまた印象的だ。

20代の頃にシーク教徒と知り合ったのに

20代の頃、何度か出張ででかけた香港。

オフィスで知り合ったシーク教徒の女性がいた。
10頭身の抜群のスタイルの美女。

彼女は産まれてこの方髪を切ったことがないといっていた。

シーク教の教えだから、と。
それは今でもしっかり記憶しているのだが、シーク教徒が「すべての人は平等である」という教義を持ち、偶像崇拝を禁止することすら知らずにきた。
もしかしたら彼女は語っていたかもしれないのに、宗教への興味などほとんどない若い頃にはインプットされなかったということか。


それにしても、72億にまで達した世界人口。

すべての人が飢えずに食べていくというのは、どれほど大変なことなのか。

そんなこともまた、この映画をみていて重く感じられた。