農地バンク制度を活用してイオンがコメ生産へ 耕作放棄地解消に繋がるのか?

イオングループが、小売大手としては初めて「農地バンク(正式名称:農地中間管理機構 農地集積バンク)」を活用して埼玉県羽生市で2015年からコメの栽培を始めるという。農地バンクについての農水省のページはこちら(pdf)

農地バンク制度とは、地域内部で分散、錯綜した農地を集約する必要がある場合や耕作放棄地などについて「農地中間管理機構」(各都道府県知事が、財団あるいは社団を一業者指定)が一旦借り受け、まとまりのある形で農地を利用できるように配慮して、しかるべき担い手に貸し付ける制度。平成26年3月に政府はその関連法を施行した。

土地持ち非農家及び自給的農家の耕作放棄地面積率は3割前後にものぼり、平成17年には耕作放棄地面積38.6万haのうち24.1万ha(6割強)がこれらの農家によって占められていたという。そうした耕作放棄地を担い手が借りて農業を行うことができるようなしくみを作る必要がある。

そこで政府は、
農地バンクに農地を貸せば固定資産税はゼロになるとした。一方で耕作放棄地の固定資産税については2~3倍に引き上げることで、農地バンク制度を後押しする方針だ。また、農地を貸し出した地域や個人に支援金を出す制度も設けている。

ただ、耕地面積の40%を占めながらも、機械化も難しく耕作に手間がかかる中山間地域の農地にもこうした借り手がつくかといえば、やはりそこは難しいと言わざるをえないだろう。実際には、耕作放棄地の面積率は、山間農業地域において最も多く、少し古いデータ(pdf)ではあるが、平成17年には14.6%と、平地農業地域の3倍に近い率にも上っている。


コンパクトシティの推進と並行して、こうした中山間地域における農業よりも平地に農業も集約、ということになっていくのであろうか?


政府は農地バンクを中心にした「農地中間管理事業」の推進によって10年後に目指す姿をこう定める。

  1. 担い手が利用する農地面積を5割→8割に
  2. 40代以下の農業従事者を20万→40万に
  3. 法人経営体を12,500法人→5万法人に

動きを追っていきたい。