「塾弁」問題。母親にプレッシャーをかけるのではなく、地元で考えるという方向で。

入試合格発表の時期。ということは、その裏で「塾の新学期」が開始。

昨日の日経夕刊に、「塾弁」づくりの悩ましさについて特集されていて、思い出した。

 

過去ブログにも、なんと2009年!に、塾弁についてどう考えるかを書いている。

 

それにしても。

まだ状況はまったく変わっていないということなのか。

塾弁問題とはなにか?

受験塾に通う小学校高学年の子たちの多くは、塾の時間が夜遅くまでかかるために(厳しいところでは11時すぎが普通という話もきいたことが!)、塾の休み時間(多くは15~20分程度)に弁当を食べて夕食にしており、これを「塾弁」と呼ぶ。

多くは16時すぎ頃、塾に行く前に、親が用意した弁当を持っていく。でもこれだと勤めている親は対応できない。休み時間(多くは19時頃)までに塾に届けるという親もいる。朝作ってもたせるという親もいる。でもこれは衛生面の心配もある。いずれにしても親の負担はなかなかなのだ。塾弁が負担だから中学受験はさせないという親も実際いる。

毎日は厳しい。となると、コンビニなどで弁当を買わせる。塾でまとめて弁当を頼む所も増えてきているが、ファストフードに一括してお願いしている塾も少なくない。

理想をいえば家族と食卓を囲むこと。でもそれができないなら、次善を考えてみたい

「個食」(一緒に食卓についていてもバラバラのものを食べていること)、「孤食」(子どもが一人きりで食事をすること)といったことが問題にされるが、その原因のひとつにこの「塾弁」もあるのではないかと感じている。

中学に入ると子どもはすごく変わる。精神的にも肉体的にもぐっと大人になっていく。その直前の、長い子では3年もの間、夕食を週に2~4回も「塾弁」ですませる習慣を続ければ、「なんで家族で同じものを食べなくちゃいけないの?」「どうして家族と一緒に食べなくちゃいけないの?」という疑問がわいてもおかしくはない。もちろん親としては、「あの時は受験だったから特別」ということになるとは思うのだが。

私は選ぶことができる環境にいたけれど、皆がそうというわけではない。なら、、

私も中学受験生の母を経験している。
自分がずっと公立校だったため、受験させるつもりはなかったのだが、娘が通う学校が一時暴力沙汰までおこるほど荒れてしまい、このまま中学に進んでは、そもそも落ち着いて過ごすことができる環境ではないかもしれないと思ったからだ。

娘は2年間塾に通った。息子もやるというので塾に入れたが、本人のやる気が続かず6年の夏に塾をすっぱり辞めさせた。どちらのケースも、塾弁というあり方がひっかかり、はやく家に戻れる個人塾に入れた。

厳しい大手塾に入れないと(偏差値が)よい学校には入れない!とアドバイスをいただくこともあった。でも、それよりは一緒に食卓を囲める方が重要だと思った。たかが中学受験(失礼!)で家族との生活や食事、子どもの睡眠時間を削る必要がどこまであるのか、という思いの方が強かった。

ただ、一方で、私の場合は、よい個人塾に巡り会えたこともあり、学校帰りに子どもが直接塾に行って勉強し、6時半すぎには帰宅という形がとれたことで、「大手塾には通わせない!」でつっぱることができたというところもある。皆がそういう状況にあるわけではない。


ほんとうは家族と一緒に食卓を囲めたほうがいいとは思うものの、理想どおりにできる環境にある人ばかりではないとなれば、せめて、身体が作られる時期であるからこそ、ちゃんとしたものを食べることができる環境を整備できないか。それも母親を責めることによって、ではなく。

そこでこんなことを考えた。

地元の飲食店の協力で塾弁プロジェクト実現したい!

地元に根付いた飲食店が回り持ちで塾弁を作り、塾にできたてを届ける。

そんなことができたらいいなと思うのだ。

2009年、地元の飲食店数軒に、このことをお願いしに回ったことがある。
でも、結局、配達する人員がいない、夜の営業に差し支えるなどの話で、「いい話とは思うのですけれど」と断られてしまった。力不足で残念ながら先に進めることができなかった。

地元の飲食店にとっては、子どもたちを通じての宣伝になる。

塾にとっては、育ちざかりの子どもたちのカラダのこともケアしている塾だといい評判に繋がる。
親たちは忙しい時や病気の時に弁当を作らずにすむ。

子どもたちはあつあつの栄養のあるご飯を食べられる。


みんなにとっていいことだと思う。

「いい母親」だけを求めるのではなく、楽しく母親ができる環境を考えていきたい

母親なんだから、子どもの弁当を作るべきでしょ!という世間の風潮はある。

 

日経の記事にも、「作り立ての弁当を塾に届ける専業主婦もいる。『比較して娘が落ち込んだらかわいそう』思いは募るが(中略)憂鬱になる」などとフルタイムの主婦のコメントがある。


もちろん毎日楽しく子どもの弁当を作れる人はどんどんやればいい。

 

でも、専業主婦、働く主婦とも、もう少し気楽に子育てができる雰囲気を作っていくことはできないのかなと思う。地元みんなで子どもが健やかに育つお手伝いをする。そんな環境が生まれたらいいなと思う。

2009年よりは、上記のような試みが受け入れやすい状況になったかなとも思い、塾弁プロジェクト再トライしてみたい。