食のブームの影にあるものに目をむけたい

 

かつて一大ブームになったナタデココ。

日本での需要が大幅にアップしたことで生産国フィリピンでは、多くの人が一攫千金を目指して工場をつくり、その供給につとめた。でも一過性で過ぎさってしまったブームの後に彼らに残ったのは借金だけ。

もちろん「儲かるに違いない!」と借金をしてまで工場を立てた彼らの見立てが悪かったんだと資本主義的には結論づけられるのだとは思う。

 

ただ、日本は、世界の中でも抜きん出て海外からの食料輸入依存度が高い。

私たちが何を選んで食べるのかは、世界中の経済、そしてその先にある人々のくらしと否が応でも繋がってしまっているのだ。

富めるものの特権として、世界の美味を手に入れることができる日本。
でも一方で、その裏にある現実を意識する目はもっていたいと思う。

「スーパーフード」キヌアの流行の裏には、主食を手に入れることができない人々の姿がある

今ブレイクしている「スーパーフード」キヌアは、ボリビアなどの国では主食。世界市場における値上がりのために、今まで当たり前に日々食べていた主食を手にいれることができない多くの人々がいる。

穀物アレルギーの人のためなのか、実はキヌアは自然食品店でなら20年前にもいつでも手に入った。その程度の量ならよいのだろうが、アミノ酸バランスがすばらしいとのことでNASAがキヌアを21世紀の主要食と宣言したこと、国連が2013年を国際キヌア年(!?)と指定したことなどをきっかけに、日本でも一大ブームの兆しだ。富める先進国では高値で取引されるから、ボリビアの貧しい人たちの手には、おそらく十分なキヌアはますます回らない。


この前例を見て、エチオピアでは、キヌアを超える「スーパーフード」とも言われる穀物テフの輸出を禁止しているという。テフはエチオピアの主食インジェラの原料だからだ。

食のブームには積極的にはのらないことを心がけている

グローバル経済の中で、食もまたグローバルに動く。

増えていく世界人口を飢えさせないための研究も必要ではあるが、富める私たちが「今まで知らなかったスーパーフード。カラダにいいみたいよ!」くらいの気持ちで高値で買い占めるその裏で、主食を手に入れることができなくなってしまった人たちがいることも、また忘れてはいけない事実だと思う。

 

食に関しては、「ブーム」はタブーと思っている。

食のブームには必要以上にはのらないことを心がけている。