乾物をふだんから使いこなすことは、食の防災訓練、と思うのです

3年前。私が住む地域では、計画停電が実施された。
「計画」というわけだから、停電するのは前もってわかっていたわけだ。

にもかかわらず、地元のスーパーに行くと、生鮮食品の棚はからっぽ。

なのに乾物のコーナーは、普段とまったく変わりがなかった。

2011年1月。ペルーの乾物を見た時、乾物を深く掘り下げてみようと思った

パパセカ
パパセカ

2011年1月。

相棒がペルーの乾物「パパセカ」を手にいれて興奮していた。

パパセカは、じゃがいもの乾物。

日本でもじゃがいもは作っているけれど、じゃがいもを乾物にという発想はなかった(アイヌと山梨の一部の地域をのぞいては)。

乾物だからこそ、世界の反対側からでも持ってくることができる。

 

常温で長期保存できる。

軽い。

 

乾物って実は未来食ではないか。

乾物を深ぼりしてみよう。

そう決めた直後の3.11だった。

冷蔵庫が使えなくても乾物なら保存ができる

乾物を使うには水がいる。

でも水さえあれば、戻しただけで生で食べられるものもあるし、冷蔵庫は不要で常温で長く保存できるというメリットが、乾物にはある。

2011年3月。
いつもと変わらずスーパーの棚に並ぶ乾物をみて、

「冷蔵庫が使えないなら乾物をと思う人は少なくなってしまったんだろうか」

「もし思ったとしても、使い慣れていないからどうしようもなかったんだろうか」

そう思った。

 

それが乾物のレシピ開発をしていこうと思ったきっかけだった。

伝統的な使い方だけではなく、今の食卓にあったさまざまな活用方法を提示できたら、乾物を使ってみようと思う人が増えるのではないか。

そして、そのことは、「もしも」の時の強い備えにもなるのではないか。

そして、スプラウトを育てることができれば、緑の野菜をとることもできる

1週間、電気がない生活だったとして、まずは水と乾物を備蓄していれば、そしてカセットコンロが使えれば、それなりの食生活を送ることはできる。

でも1週間もたてば、生野菜を食べたくなるかもしれない。

実は、豆やさまざまな野菜のスプラウト用種があれば、水さえやれば1週間で十分食べることができる新芽=スプラウトを育てることができる。

長期のヨットの旅にでる人が、スプラウト用の種を持参し、洋上で栽培して食べるという。種は軽いし、場所もとらない。

スプラウトは1週間もせずに水だけでこんなに育つ
スプラウトは1週間もせずに水だけでこんなに育つ

普段から乾物を使いこなし、スプラウトを育てるのは食の防災訓練

 

乾物をさまざまな料理に使いこなすこと。

スプラウトを育てること。

この二つの技を身につけることは、食の防災訓練と呼んでいいのではないかと私は思っている。

 

乾物のメリットは他にもたくさんあるが、もしも!に備える食としてのメリットは、決して小さいものではないと思うのだ。