今さら、ですが、「フェルマーの最終定理」。
「数学はシンプルでエレガント」
ある種の美の極地を目指し、真理を探求する人間の崇高な魂に震えるような感動を憶えました。
「フェルマーの最終定理」は、数学最大の難問とされてきました。この証明に挑む数学者たちの挑戦の記録。そもそも証明できるのかもわからないこの難問に、10歳で出会い、自分こそが証明してみせるとその夢に挑戦し、実現したアンドリュー・ワイルズを軸にしながら、彼のこの達成を可能にした、3世紀に渡る先人たちのさまざまな挑戦が描かれています。
ワイルズの、夢への挑戦はもちろんですが、とくに重要な役割を果たした先人、志村五郎と谷山豊の日本人や、フランス革命のさなかに差別の中、当初は男性を名乗って研究を重ね、大きな一歩を残した女性数学者ソフィー・ジェルマンの人生など、ほとんど涙モノ。
そしてさらに遡って、このベースとなるピュタゴラスの実績から書き起こされており、数学という世界での人間たちの知的挑戦の歴史に心が震えました。
350年の間、数えきれないほどの人たちが挑戦した(中には自殺してしまった人もいる!)ことによって積み上げられた数論の現代的概念のほとんどすべてを駆使してなされたその証明は200ページにもわたり、その審査をするために6人の最高の数学者たちが査読したといいます。
この物語は、涙なしには読めませぬ!
追記:エピソード的に触れられているのだが、ある種のセミのライフサイクルが素数であることの意味についての考察は、自然ってすごい、と、衝撃でありました。
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