ある米麺会社の清算に思う

米麺製造のパイオニアのうちの一つといってもよいM社のホームページを見て、哀しくなった。

「弊社は、昨年の3.11東日本大震災の影響で著しい売上不振が続き まして、3月末日で事業停止状態に陥ってしまいました。
 現在会社清算に向けての準備を行っておりますので、製造はもちろん 出荷対応等ができなくなっております。生産及び出荷は今後とも再開する 事はできません。 」

もちろん他にもこういう会社はたくさんたくさんあるに違いない。
たまたま私にとっては「がんばってほしい」と思っている会社だったから、こんな哀しい気分になるのだというのはわかっているのだけれど。 

その会社の麺を使ったスープカレー米麺
その会社の麺を使ったスープカレー米麺

幕張やビッグサイトなどの米関連の展示会では、必ずというほど出展していた。

 

米麺が出始めの頃は、茹でるとブツブツ切れてしまうものや、余計な添加物を入れているものなど、「米麺」という新しさで買ってもらえるかも??くらいの気持ちで作っているのでは?と思える会社も実は少なくなかったように思う。

この会社は、減反で悩む米農家の出口を作りたいという思いから米麺の製造を始めたという。
そして、その米麺は、当初本当にまともな米麺を探すのが難しい頃に出会い、はじめて「おいしい」と思い、がんばってほしいと思った米麺だった。

 

ある展示会のブースで、「今まではOEMでやっていたんですが、自社の工場を作ったんです。がんばりますよ。」と意気込みを語ってくれたのを思い出す。

その後の3.11。

 

その日、私は新宿区の某雑誌編集室で、20種以上の米麺を試食し、コメントするという仕事の最中だった。

おいしい米麺がいろいろでてきたなと思いながら食べていた。
その中でもやはりこの会社の麺は、おいしかった。
日本人なら誰でも素直においしいと思う米麺だなと思った。


すべての試食を終えた時、地震がきた。

あの日から、その会社も必死に戦ってきたのだと思う。
でも力つきてしまったということなのか。


残念、としかいえない。