広さ2畳、床の壁から天井まで土壁を塗り回した、他に例がない利休の茶室「待庵」。
何を思い、どんな経緯で、どんな方法で作られたかの自説を披瀝する第三章「利休の茶室」はドキドキしながら読んだ。
大乗仏教と小乗仏教の差を語った後で、利休の茶を小乗の茶ととらえる。待庵は弁証でも対極でもない「反転」であり、普通の壷中天ではなく、反転によって外側のすべてが中に封じ込められた壷と考えた利休の思いを体現したものではないかとする。
そしてそれは時の権力者、秀吉が躙り口を通って待庵に入ることによってこそ完成する。
戦前茶室に取り組んだ堀口捨己から、茶室に近づかなかった丹下健三ら戦後世代。ポストモダンの磯崎新、黒川紀章、さらには安藤忠雄、隈研吾が取り組む茶室への言及なども興味深い。磯崎新との対談も面白かった。
お茶についても建築についてもほとんど知識なしの私でも、ドキドキするくらい楽しめた一冊。
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